社会科学系小論文対策:「18歳選挙権」

 

18歳から投票できることが今回の参議院選挙では一つ大きな話題となっている。果たして若者の投票率は、そしてそれが全体の投票率の底上げにつながり国民の政治への関心は高まるのか、そんなことが注目されている。河北新報2016年6月22日の記事に、18歳選挙権先進国のオランダの総領事ウオルスさんのインタビュー記事が載っていた。18歳選挙権を巡る論点や視点を提供してくれる。

 

まず18歳という年齢が早いか遅いかについて。氏は「18歳は大学進学などで社会に出ていく時期なので、政治参加には早すぎない」という。ただ日本の若者の印象については「大人に守られながら育ち幼い印象を受ける」という。若いうちから自分の意見を探す訓練をさせるオランダに比べると、年長者から万学んで行く傾向が強い日本との違いが出ている、という。

 

日本では、政府の公式見解以外は教えてはいけないと、高校の現場では委縮が起きている。萎縮というか世間の動向を先回りして気にする自己規制であるが、これでは高校生が政治について学ぶ機会はなく、何を判断基準にして候補者や政党を選んでよいかわからない。それに対して氏は「上から目線で子どもに教えるのは間違いで、子どもたちに議論の仕方や政策の比較の方法を教え、彼ら自身で検討するように仕向け、自分で考える力を引き出すようにしてほしい」という。

 

オランダではどうやって国民の政治参加意識を強めているのだろうか。

 

1つには、オランダの小さな都市ではごく普通の住民が議員を務めそれが政治を身近にし、多様性を生んでいるという。ウオルス氏も小さな町の議員を勤め、道路一本作るだけでも、自分たちの生活がどのようなシステムに支えられているか、問題がどのように解決していくかを知ることができてよい経験だったと言っている。民主的な社会というのは一朝一夕にはできず、こういう小さなことの積み重ねが、民主的な社会を支えている。

 

日本の場合、投票を棄権する人の理由で「自分が投票しても政治は何も変わらないから」というのが多い。政治は自分の生活とは全く無関係で、知らない別の世界の人が行うものだと思っているし、また何を言ってもしても変わらないという政治不信が人々を政治、つまり民主的な社会参加から遠ざける。人々が絶望するその原因の一つには、立候補する供託金が世界水準からすると異常に高く、これでは2世議員などの恵まれた家柄のものしか政治にかかわれないといった問題も様々にある。